2023年阪神タイガースは昨年日本一のオリックス・バファローズに勝利し38年ぶりの日本一となった。この記事では38年間日本一から遠ざかっていた阪神タイガースが、なぜ2023年に日本一になることができたのかを分析している。
2023年 阪神タイガースが日本一になれた理由
- 圧倒的な投手力
- 勝てるチームになった
(勝負どころの見極め) - 特別な力が働いた
オリックス・バファローズとの日本シリーズに勝利

第6戦終了時点で合計得点数が23-23になっていることも話題になった。
3年連続日本シリーズ進出を果たした昨年日本一のオリックス・バファローズに見事勝利した。
2023年セ・リーグ成績表
引用:NPB
https://npb.jp/
終わってみれば貯金32と圧倒的なリーグ優勝だった。
2022年セ・リーグ成績表
引用:NPB
https://npb.jp/
こうして見ると不思議に思わないだろうか?
昨年と一体なにが違ったのか
もう少し細かく見ていく。
2023年 セ・リーグチーム防御率

2023年も圧倒的な投手力がチームの強さを築いた。
2022年 セ・リーグチーム防御率

2022年の防御率は2.67と2023年とほとんど変わらない。
活躍した左投手が多い
先発、中継ぎともに活躍した左投手が多かった。
- 大竹 耕太郎
(先発 防御率2.26 12勝2敗) - 伊藤 将司
(先発 防御率2.39 10勝5敗) - 岩崎 優
(抑え 防御率1.77 3勝3敗 35S 12H) - 島本 浩也
(中継ぎ 防御率1.69 4勝2敗 15H) - 桐敷 拓馬
(中継ぎ 防御率1.79 2勝0敗 14H) - 岩貞 祐太
(中継ぎ 防御率2.70 1勝0敗 24H) - 及川 雅貴
(中継ぎ 防御率2.23 3勝1敗 7H)
凄まじい!
大竹投手、伊藤将司投手は先発だが、先発でも中継ぎと同じような防御率だ。
そもそも左投手はどの球団でも重宝される傾向にある。それほど希少性が高いためだ。
左利きの絶対数が少ない以上、投手に占める左投げの割合は常に少なくなる。2021年のNPBで見ても、育成も含む503人のうち71.2%の358人が右投げ、左投げは28.8%の145人だった。左投手は少数派なので、優秀な左腕投手には常に希少価値があると言えよう。
引用 SPAIA
https://spaia.jp/
優秀な左腕投手には常に希少価値があるというのは、まさにその通りでどのチームも少ない左投手をいかに上手く起用するかが課題だったりする。
しかし先ほど掲載した通り、2023年の阪神の左投手の充実は素晴らしいものだった。
2023年 セ・リーグ打撃成績

2022年 セ・リーグ打撃成績

- 近本 光司
(打率.285 本塁打 8本 打点 54) - 中野 拓夢
(打率.285 本塁打 2本 打点 40) - 大山 悠輔
(打率.288 本塁打 19本 打点 78) - 佐藤 輝明
(打率.263 本塁打 24本 打点 92) - ノイジー
(打率.240 本塁打 9本 打点 56) - 木浪 聖也
(打率.267 本塁打 1本 打点 41) - 森下 翔太
(打率.237 本塁打 10本 打点 41)
- 打率.326 宮﨑 敏郎(DeNA)
- 打率.305 西川 龍馬(広島)
- 打率.300 サンタナ(ヤクルト)
- 打率.293 牧 秀悟 (DeNA)
- 打率.289 大島 洋平(中日)
阪神の打撃成績も昨年とそれほど大きな変化がなかったと言える。
1985年に阪神が日本一になったときは、真弓、バース、掛布、岡田(現監督)の打撃がとてつもない成績だった。
1985年阪神タイガース 打撃成績

上記はウィキペディア参照データになる。
打率と本塁打に関しては今年と比較できるデータではない。理由は当時の球場は甲子園球場もラッキーゾーンがあったことや、現在のようにドーム球場ばかりではなく球場も狭かった。
昔の選手を当時の画像や映像で見てもらえば分かるが、現代の選手よりも身体が細かったり小さい選手が多い。当時のほうが上手く打たないと打球は飛ばないと言えるだろう。
データとしてぶっ飛びすぎて面白い数字だったので、あえて掲載しておく。
- 真弓明信
(打率.322 本塁打 34本 打点 84) - バース
(打率.350 本塁打 54本 打点 134) - 掛布雅之
(打率.300 本塁打 40本 108打点 ) - 岡田彰布
(打率.342 本塁打 35本 101打点 )
面白半分で掲載してみたつもりだけど、改めてみるとぶっ飛んでた。
バースさんは1985年1986年と2年連続三冠王
(無双状態)。
掛布さんの成績もそりゃミスタータイガースって言われるわというとんでもない成績。
1番真弓さんの成績もえげつないし、3,4番歩かせても岡田さんが5番にいるという相手投手からすると恐ろしい打線だ。
四球による出塁が多かった
話しが前回日本一の1985年に飛んでしまったが
よく話題になるのが四球の数だ。
2023年は四球が494個と昨年より136個も多くなった。
近年は早いカウントから打ってくる打者が多いため、投手も初球から積極的にストライクを取らないケースも多い。
2023年は「見逃し三振をオッケーとするからフォアボールで出塁を狙っていこう」という指示をしたと岡田監督は発言している。
相手チームのエラーや四球により出塁したランナーを盗塁などで思いっきり使う。もらったチャンスは一気に攻め込むという岡田采配が功を奏した。
数字として改善されなかったエラー数
2023年はエラー85 リーグ最多

2022年はエラー86 リーグ最多

2023年は守備位置を固定するということで、シーズンがスタートしていた。
しかし終わってみればエラー数は1つしか減っていないし、昨年同様リーグ最多のエラー数だ。
日本シリーズでも「そのエラーはまずい」というのもあった。
ただエラー数が減っていなくても、出場している野手の深刻な打撃不振というのが少なかった。
これが大きな連敗をしなかった要素である。
「全然点が取れない」ということも少なかった。
甲子園球場の天然芝と黒土
西宮市
https://www.nishi.or.jp/
甲子園球場でのプレーは、内野ゴロがイレギュラーしやすくエラーが多くなる傾向がある。それは日本シリーズもそうだった。
イレギュラー
規則的ではないさま。変則的。
対戦相手のオリックスは2023年シーズンにおいてチームエラー数60。パ・リーグエラー数2位だった。(パ・リーグで最少エラー数はソフトバンク)
そんなオリックスでも日本シリーズでは甲子園にて4戦目3エラー、5戦目2エラーだった。
なんと2試合で5個のエラー数となった。
2023年日本シリーズ第4戦
sportsnavi
https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
2023年日本シリーズ第5戦
sportsnavi
https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
とは言うものの甲子園球場は阪神タイガースのホーム球場でしょ、と言う人もいるかもしれないが、練習したいからといつでも使える球場というわけではない。
投手力を軸に戦う阪神タイガースにとって必ずしも有利というわけではない。
岡田監督2022年10月就任時の言葉
他球団含めて強いチームはない
2022年10月に監督就任記者会見にて岡田監督は、「今他球団を含めて、強いチームはない」と発言している。これは裏を返せば上手くやれば勝てるという意味でもあった。
勝てるチームにしたい
監督就任記者会見にて「どんなチームにしたいですか?」という質問に対して岡田監督は、「勝てるチームにしたい」と発言している。
当たり前のことを言っているようだが、当時のタイガースは安定して勝てるチームではなかった。
勝負どころを明確にする岡田采配が選手に浸透した
タイガースOBでもある下柳 剛さんが、岡田監督との対談で「5月11日に代走3人を一気に起用したのがターニングポイントだった」と話している。
sportsnavi
https://baseball.yahoo.co.jp/npb/
このとき8回裏のたたみかける選手起用で1点をもぎ取り勝利をつかんだ。
下柳さんはこの5月11日以降から得点数も増えていったと分析していた。
勝負どころを選手たちが理解してきたと岡田監督も実感していたようだ。
「勝負どころが分かればもっと楽にゲーム展開できる」と岡田監督は対談で発言した。
上手く野球をすることでタイガースは勝てるチームとなった。
横田慎太郎さんの思いを胸に
引用:毎日新聞サイト
https://mainichi.jp/
2023年7月に横田慎太郎さんが亡くなった。
横田さんは2019年に脳腫瘍の影響で視力が落ちたため現役を引退していた。
横田選手は2013年ドラフト2位の選手
1位 岩貞 祐太(投手)
2位 横田 慎太郎(外野手)
3位 陽川 尚将(内野手)
4位 梅野 隆太郎(捕手)
5位 山本 翔也(投手)
6位 岩崎 優(投手)
3位の陽川尚将選手は2022年12月に現役ドラフトにより埼玉西武ライオンズに移籍した。
5位の山本翔也選手は2018年に現役を引退している。
今年のタイガースは岩貞投手、梅野選手、岩崎投手がまさに大車輪の活躍だった。
梅野選手は8月ケガにより離脱してしまったが、来年は復帰を期待したい。
また梅野選手の代わりにマスクをかぶった坂本選手も、素晴らしい活躍だった。
まとめ
2023年阪神タイガースが日本一になれた理由は、
圧倒的な投手力
勝てるチームになった
特別な力が働いた
と書いたが、もちろんこれ以外にもたくさん要因はある。
各ポジションにおいて競争は、激化していることもチームとして強くなった要因だろう。
村上投手、石井投手、才木投手も素晴らしい活躍だった。
最後になったが、阪神タイガース38年ぶりの
日本一おめでとうございます!
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